『ボーイミーツマリア』
PEYO/著・プランタン出版Canna Comics/刊・1巻完結

 

この『ボーイミーツマリア』は本当におすすめ。BLジャンル作品だけどほぼエロなし。ちょっとえぐいシーンがあって重くてしんどい部分もあるんだけど、重さより愛おしさが勝ってる作品。

ざっとあらすじを紹介しておきましょう。主人公は広沢大河15歳、高校1年生。特撮ヒーローに憧れ、高校では演劇部に入って日本一ビッグな俳優を目指す、つもり。

友人に「脳内が小学生男児のまま成長してない」と言われてしまう大河くん、なにごとにもポジティブ過ぎて周りが退いちゃうレベルだったりする。

その大河が出会った相手が、演劇部のマリアさまこと有馬優。女装してダンスを披露してた「彼」は、女装が似合いすぎる美少年だった。

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このマリアさまこと有馬くんが、いろいろ重い屈折を抱えちゃってるんだよね。それはもう、言葉にするのもつらいような。その有馬くんに、相手が男だとわかっても「好きだ好きだ」と言い続ける大河の姿が、誰かさんを彷彿とさせてくれるw

いや、そういうのがなくても、本当にいい作品。大河と有馬の純粋な気持ちが、ぶつかり合いながら少しずつ通いあっていくようすが胸に染みちゃう。

15歳の少年たちの、いまだ自分が何者であるかもわからず、でも互いをぶつけあうことで自分を確認していくようなその過程が、とっても愛おしい。本当におすすめです。1巻完結作品なので、手に取りやすいと思います。

 

2020年8月29日追記:
この『ボーイミーツマリア』の作者であるPEYO先生が急逝されました。PEYO先生は恵口公生名義で製作活動を行われていたのですが、本当に残念です。享年23歳。早すぎます。ただただご冥福をお祈りします。


ボーイミーツマリア (Canna Comics)

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『ワンルームエンジェル』
はらだ/著・祥伝社onBLUE comics/刊・1巻完結

 

この『ワンルームエンジェル』は、説明するのが本当に難しい。何度読み終えても、そのたびに言葉を失っちゃうから。よかったとかおもしろかったとか、そういう言葉じゃ説明できないの。あーもう、とにかく、これが愛だよね、っていう。

とりあえず、あらすじらしきものを書いておきましょう。主人公は幸紀(こうき)、男、30代、趣味なし、友人なし、恋人なし、生きる価値、なし。コンビニバイトで夜勤をやってる。

その幸紀が、バイト先でチンピラに絡まれ、路地裏で揉めた挙げ句ナイフで刺される。痛くて血が流れて、自分でもまじでヤバいと思ってよろめいたそのとき、パァンという音がして天使が降ってきた。

目の前に降ってきた天使の姿に、幸紀は自分が死ぬのかな、クソみたいな人生ここらへんが潮時だ、なんて思ったのに、死ななかった。病院に運ばれて入院してとんでもなく順調に回復して、テレビもネットもない狭くて汚いワンルームに幸紀が帰宅すると、あの天使が待っていた。それも、お腹を空かせて。

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天使がいったい何者で、なんで幸紀の傍から離れなかったのか、それについてはもう読んでもらうしかない、としか言えない。ネタバレはしません。

この作品もBLジャンルなんだけど、エロはまったくなし。妙にふてぶてしくて俗っぽい天使がとっても可愛くて、とっても切ないんだ。うん、切ないって言葉がいちばんしっくりくるかな。

切なくて、愛おしくて、それからこの言葉は最近すっかり手垢にまみれちゃってる感があるからあんまり使いたくないんだけど、でもやっぱりすごく尊い、そういう作品。BL漫画を読んだことがない人にも、ものすごーくおすすめです。こちらも1巻完結作品なので、ぜひどうぞ。

 


ワンルームエンジェル (onBLUEコミックス)

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『てだれもんら』
中野シズカ/著・KADOKAWAビームコミックス/刊・1巻以下続刊

 

ごく最近1巻が出たばかりの作品なんだけど、すっごく続きが読みたくなる内容だったのでご紹介。BL要素もあるけど(いまんとこエロなし)、ジャンルとしては青年漫画かな。

っていうか、本当にすごく不思議な漫画なんだよね。モノノケも出てくるしミステリー要素もかなり強い。アナログ貼りだっていうトーンの陰影が印象的な絵柄で、お料理の絵もとっても繊細。本当にこの不思議な世界でどう物語が転がっていくんだろう、っていう楽しみしかない感じ。

では簡単にあらすじをば。腕のいい板前の星野トオルは土曜日の夜、庭師の鷹木明の家へ行く。明の家の台所で少し肴を作って一緒に飲む。そしてときには泊まっていく。

この庭師の明が、ちょっと特殊な庭師なんだよね。庭に棲む怪(け)を祓う、専門の庭師っていう。庭の怪は、いいものとは限らない。禍つ怪を手入れするのが、明の仕事。

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板前のトオルは明が好きで、自分が作った料理を明と一緒に食べるのが嬉しくてしょうがない。でも、明と最初に会った頃の記憶が実は曖昧らしい。もちろん明が庭師であることは知ってるけど、そういう特殊な庭師であることまでは知らないようだし。

トオルと明の出会いには、その明の特殊な庭師としての仕事が絡んでいるようなんだけど……それもどうやら不穏な形で、っていうのが、この1巻の内容。これもネタバレはしません。

この不穏さがすっごく後を引くんだわ。トオルが明のこと好きなのはもうだだ漏れ状態で可愛いのに、でも明って……え? え? 明にはトオルに告げてない秘密が絶対あるよね? それもかなりヤバそうな秘密が、っていう。うーん、これはハマるわ。おすすめです。

 


てだれもんら 1 (ビームコミックス)

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