アイダサキ/著・講談社タイガ文庫/刊

 

推理小説っていうより警察小説かな。犯罪小説かもしれない。主人公は野郎2人っていうバディもの。2人とも警視庁の警察官で、プロファイリングを専門とする捜査係に所属して犯罪捜査をしてる。

そんでもってどうやら、個別の犯罪捜査を行いながら主人公の1人である羽吹允(はぶき・みつ)の抱える特殊な事情と絡み合った大きな謎と、その謎の根本にあるさらに大きな犯罪を追っていく、そんな感じの筋立てだ。

あ、作者のアイダサキ先生はBL小説で有名だけど(英田サキ名義)、この『サイメシスの迷宮』はBL色なし。でもさすがに、男同士のバディの描き方が半端なく上手いと感じさせられるよ。

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とにかくホントにキャラ立てが上手いんだよね。おかげで私は、自分はキャラで読むんだなと、しみじみ思った。やっぱり主要なキャラの考え方や感じ方に対して、同意・共感できるかどうかって大きい。同意や共感ができれば思い入れも強くなるし、ストーリーの予想もしやすくて展開にも無理なくついていけるもんね。

もちろん、ストーリーとして自分の予想を裏切られるおもしろさっていうのも確実にある。でも基本的に、自分とキャラの間にあまりにも大きな齟齬があると、まったく気の合わない人と旅行しちゃったときのような徒労感を覚えてしまう、と言えばわかりやすいかな。キャラと付き合いきれなくなっちゃって、途中で投げ出したくなるっていう。

そういう意味では、この『サイメシスの迷宮』シリーズの主人公である羽吹允は私にとって、なんかもう共感するとか言うより、身につまされちゃうようなレベルだった。羽吹がなんでそのときそういう言動をしたのか、何に傷ついて何を恐れているのか、めっちゃわかるし納得できちゃうしで、むしろ頭を抱えちゃうような状態で読んでしまいましたわ。

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まあ、とにかくクセのあるヤツなんだけどね、羽吹って。同期の同僚に言わせると「偏屈で協調性がない。人の話を聞かない。上司の言うことも聞かない。自分の仕事以外は眼中にない。機嫌のいいときがない。呆れるほど空気が読めない。我が道を行きすぎる。いつも同じ服を着ている。いつもイチゴミルクの飴を食べている。勝手に食べたらしつこく根に持つ」ってヤツなんだけどね。

一方、相方の神尾文孝(かみお・ふみたか)のほうはと言うと、上司からの評は「一見すると真面目で融通が利かないタイプに見えるが、実際は肝が据わっていて、いざというときは大胆にもなれる。それに柔軟性もある」とのこと。そしてさらに「見た目より熱血」なところアリ。

ちなみに羽吹警部補32歳が上司で神尾巡査部長27歳が部下。羽吹は小柄でキレイめの顔立ち、しかも私服警官なのにスーツ着用ではなく常にマウンテンパーカーにカーゴパンツ姿。実父も実兄も警察官僚で、本人も東大を出てるけど現場で捜査をしたいからとノンキャリで警視庁に入った。神尾は長身でいわゆるガタイがいいタイプ。元高校球児で正義感も強く、亡くなった父親も警察官だったという、ある意味テンプレ的なノンキャリ警察官。

とりあえずものすごーく大雑把に言っちゃうと、ある特殊な能力があってめちゃめちゃ優秀なんだけど警察内の立場がちょっと微妙でしかも掟破りばっかりやってる問題児の羽吹と、その羽吹のフォロー役にと直属の部下に抜擢されたまっとうな正義感の持ち主で熱血もイケちゃういかにも警察官らしい警察官の神尾、っていう理解でOKだと思う。

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この『サイメシスの迷宮』って、犯罪小説としてももちろんおもしろいのよ。特異な殺人事件を、羽吹がさまざまな情報を集めプロファイリングして犯人をあぶり出していくその過程も、その羽吹をいろんな形でサポートしていく神尾の役割も、あちこちに張られた伏線とその回収も、きっちりわかりやすく、かつわかりやす過ぎない描写でつづられていてすごく読み応えがある。

なのに私としては、羽吹わかるわかる状態のほうが強すぎて、そっちにばかり意識が行っちゃうんだよねえ。だからこの感想でも、描かれてる犯罪そのものについてではなく、羽吹のことばっかり書いちゃうからそのつもりでどうぞ。

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で、ここから盛大にネタバレ(犯人が誰かとかは書いてないよ)。

ではまず、羽吹の抱えてる特殊な事情その1。それは羽吹の尋常じゃない記憶力。どのくらい尋常じゃないかっていうと、たとえば10年前のある1日に何を食べ誰と何時にどこで会いどういう会話をしたかを、いきなり問われても詳細に説明することができるレベル。

ええ、これはもう病気。超記憶症候群(ハイパーサイメティック・シンドローム)っていう、忘却能力を失ってしまった病気なんだよね。サヴァン症候群のように特定の分野にだけ特化して記憶しまくるんじゃなくて、とにかく目に映ったもの耳に入ってきたことのすべてを詳細に、自分の意志とはまったく関係なく録画録音したかのように記憶してしまい、それを消去することができないっていう症状をみせる実在の病気だよ。

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そんな、何もかもすべて記憶できるなんて超便利じゃないのと、多くの人は考えるかもしれない。でも羽吹の場合、自分の感情もすべて詳細に記憶してしまい、しかもうっかりするとその記憶がのべつまくなしに湧いて出てくる。何かの拍子に記憶が強制的に再生され、さらに記憶の中にある「自分の感情に襲われる」って状態になっちゃうんだよね。

どういうことかというと、耐えられないほど辛かったことや悲しかったこと、苦しかったこと、それに伴う怒りや怨みなんていうマイナスの感情が突然ぶわーっと、しかもそれを感じたそのときのままの、思いっきり生々しい状態でよみがえってきちゃうんだよ。もう過ぎ去ったはずの苦しみや悲しみを、何度も何度も繰り返し体験し続けなきゃいけないってことだ。

人間ってたいてい、楽しかったことや嬉しかったことよりも、マイナスの感情のほうが強く記憶に残っちゃうんだよね。それに、楽しかったことや嬉しかったことを思い出しても、もしそれがすでに失われてしまっていて、二度と得ることができない状況になっているとしたら、そのことを悲しんだり怨んだりするマイナスの感情がセットになって出てきちゃうし。

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記憶の中にある自分の感情に襲われるって、数年前の私なら理解できなかっただろうなあ。でもこの数年、私はまさにそれを体験してた。自分の中にあるマイナスの感情が、それを感じたときの詳細な記憶とともにいきなり湧いて出て、どうにもコントロールできない状態に陥ってた。

あのときあの人に言われた屈辱的な言葉、あからさまに見下された態度、言い返せなかった自分。何年も前の、自分が深く傷つけられた詳細な記憶と、そのとき感じた怒りや怨みの感情。それがふとしたことでありありと浮かび上がり、打ち消しても打ち消してもまた違う記憶とともにマイナスの感情があふれてくる。

ものすごくしんどかった。毎日気が滅入ってしかたがなくて、気が滅入るとさらにマイナスの記憶と感情が湧いて出てくるし。もう起き上がるのも面倒で、食べることもトイレに行くことすらもおっくうだった。なにもかもが、どうでもよくなっていった。

そしてほんの少しその状態が途切れ始めたとき、私はやっと自覚できたんだよね。これって、ウツの症状なんだ、って。

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いやーアレはしんどいよ。あんな状態が続いたら確実に心を病むよ。ああ、あんな状態が続くからウツになるのか、それともウツになったからあんな状態が続くのかはよくわかんないんだけど。とりあえずしんどい。精神を削られる。それはもう間違いなく。

私は、いまはもうこうやってさらっと文章に書けるくらい回復してるわけだけど、この『サイメシスの迷宮』の羽吹はずっと、つまり超記憶症候群が治癒しない限り、あのとんでもなくしんどい状態が続くんだ。

だから羽吹は徹底的に自分をコントロールしてる。もうひとつの特殊な事情のために自分の過去と向き合い続けているけど、そうしている間にもどんどん積み重なっていく過去=記憶に振り回されないために、必死に壁を築き一点だけを見据えて自分を守ってる。なんかもう、読みながら「羽吹ぃ……」と背中をぽんぽんしてあげたいと、何度思ったことか。

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羽吹が具体的にどうやって自分を守っているかっていうと、とにかく人生の面倒なことを省略しまくってるんだよね。まあ、人が生きていて何がいちばん面倒かっていうと、たいてい人間関係だからさ。空気を読むのも面倒くさい、オブラートに包んだ言葉ってのをいちいち考えて話すのも面倒くさい、自分を理解してもらおうという努力をするのも面倒くさい。

それに何より、相手の気持ちを考えて自分の気持ちを揺らせてしまうと、それだけ余計な「記憶」が増えてしまう。揺れるな、たわむな、迷うな。過去と向き合い続けるために羽吹は「いまの自分」を増やしてしまわないよう、いつも不機嫌で人を寄せ付けず、目の前の仕事=犯罪捜査だけに全力で集中し、毎日同じ服を着て、ひたすら『G線上のアリア』をエンドレスで聴き続ける。

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そんな羽吹に、新たに部下になったばかりの神尾は結構勢いよく踏み込んでくるわけだ。素直で正直でてらいがなくて、まっとうな正義感と相手を思いやる気遣いも持ち合わせてる神尾は、上司の羽吹を理解したいという思いにためらいがない。

「羽吹さんを理解したいんです」と、思いっきりストレートの速球を投げ込んでくる神尾に対し、羽吹はもう面倒くさいんで答えちゃう。そもそも、羽吹はたいてい「言えない」「言いたくない」じゃなくて「言うのが面倒くさい」なんだよね。人と言葉を交わせばそれだけ記憶が増えちゃうし。でもあまりにもストレートに、しかもしつこく問いかけられ続けちゃうと「言わないほうが面倒くさい」になるから答える。

それに、羽吹がなんで神尾には言うのか、言うようになっていくのか、その理由もわかるんだわ。神尾は、それが何であれ、事実は事実として素直に受け取ってくれるから。

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人間って誰でもたいてい、ごく当たり前に記憶を改ざんして自分に都合の悪いことは忘れる、つまり最初からなかったことにするもんなんだけど、そのなかったことにする割合って人によるんだと思うんだよね。

羽吹みたいに物事すべて強制的に録画録音するように記憶しちゃって、しかも忘れることができない場合は、改ざん率はゼロだってことだ。羽吹にとっては、事実はどれも事実のまま受け取るしかないわけだから、話すときも事実をそのまま話すのが普通のことなんだよね。

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でも、事実をそのまんま受け取ってくれる人って、実はものすごーく少ない。たいていの場合、事実をいきなり投げちゃうともうあちこちで角が立ちまくる。みんなが空気を読んで曖昧に「楽しかったよね?」って言い合ってる中で、1人だけ「○○が××だったから楽しめたとは言えない」って、いきなり言っちゃうってことだからね。

それでも羽吹にしてみれば、角が立って自分が非難されることよりも、相手に合わせて自分を揺らす作業のほうが負担が大きいんだ。

だからもう羽吹は誰に対しても事実を事実のまま投げつけて、「呆れるほど空気が読めない。我が道を行きすぎる」ヤツなんだってレッテルを、貼ってもらうことを選んだってだけの話。まあ、超記憶症候群による負担を差し引いても、やっぱ基本的に羽吹がそういう性格なんだろうなと思わないでもないんだけど。

だけど神尾は、角を立てることもなくそのまま素直に受け取ってくれる。そりゃあ、羽吹としては本当に楽だろうなっていう。この辺がバディのツボだよねえ。

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ちょっと話が逸れちゃったけど、羽吹が抱える特殊な事情に戻ろう。もうひとつのそれは、拉致と記憶喪失。羽吹は9歳のとき、小学校の林間学校で出かけた栃木県の山中で何者かに拉致され、1年間行方不明になっていたって過去を持ってる。

行方不明になって1年後、千葉県で無事保護されたときの羽吹は、その1年間の記憶を完全に失ってた。しかもその直後に超記憶症候群を発症したっていういきさつがあるんだよね。そして、羽吹の失われた1年間の記憶はいまになっても回復してない。

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さらに、保護されたときに羽吹が履いていた靴には、羽吹本人以外の血液が3人分付着していた。しかも、そのうちのひとつがある殺人事件の被害者の血液と一致したっていういわくつき。その殺人事件は未解決のままで、羽吹は自分がその殺人事件にどう係わっていたのか、強烈に知りたがってる。

だって、羽吹を1年間監禁または連れ回していたと思われる拉致犯は、おそらく3人、場合によってはさらに多くの人を殺害している可能性が高い。そして靴に被害者の血液が付着していたということは、羽吹も殺害された被害者と接触していた可能性を意味している。もしかしたら遺体の遺棄を手伝わされたのか……ことによっては殺害そのものすら、羽吹は手伝わされていたのかもしれない。

なのに、皮肉なことにその記憶だけが羽吹から欠落してるんだよ。羽吹は失われた1年間に自分が巻き込まれていたとしか思えない特異な連続殺人事件の真相が知りたくて、警察官になったようなものなんだよね。

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だから羽吹は過去ばかり見てる。過去の自分を探すことに必死で、そのためにいまの自分をないがしろにしていることも、ちゃんと自覚してるんだけど。いまをないがしろにしてる自分を、卑怯者とまで呼んでるんだけど。

それでもやっぱり、記憶したくないことまですべて記憶してしまって忘れることもできない自分に、まるまる1年間も記憶の空白があるって、もうそれだけですっごく気持ち悪いっていうのもよくわかるんだよねえ。

しかもその空白期間に、自分が連続殺人事件に直接係わっていた、係わらされていたとしか思えない状況なんだから、そりゃあもう気が狂いそうになるほどに「何があったんだ!」と思い詰めるのも、しかたがないと思っちゃうんだなあ。

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羽吹のことで私が身につまされちゃうっていうのは、ひとつには自分の記憶力っていうか記憶形態がちょっと普通じゃないなっていう自覚があるから。

私の記憶力のどの辺がおかしいかというと、ン十年来ってくらい付き合いの長い仲のいい友だちと、最初にいつどこでどういうシチュエーションで出会ったのか、正確に覚えていたりすんだよね。それこそ、何年何月何日何時頃にどういう場所で最初に交わした言葉は何、みたいなレベルで。

学生時代の友人同士が紆余曲折を経て結婚したとき、2人が最初にどこでどうやって出会ったか、その場にたまたま立ち会っていた私は覚えていたのでそのことを言ったら、本人に呆れられたこともある(本人はまったく覚えてなかった)。

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もちろん、自分が出会った人すべてに対してそこまで詳細な記憶があるわけじゃない。詳細な記憶はやっぱり自分にとって特に印象深い相手に限られてる。そうじゃない相手との出会いは、そこまで詳細なデータは必要ないと判断して自動的に消去してるんだと思う。まあ正直、寄る年波には勝てずいろんな記憶が薄れてきてはいるんだけどね。

そんでも、データっていう言い方が、私の場合ぴったりなんだわ。冗談抜きで私の記憶って9割くらいは文字で頭の中に書き込んであるから。本当に文字、言葉に特化されてるらしくて、映像とか画像とかは添付資料程度にしか保存、いや記憶してないんだもんな。

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ホント、私は自分の感情に至るまで「そのとき私はこう感じた」みたいに言葉で表記して記憶してるもんだから、自分でもかなり客観性の高い記憶なんだと思う。ぶっちゃけ、私の中には言葉にならない感情ってないんだよね。もやもやした状態でずっと抱えてるっていうことがどうしてもできなくて、時間はかかっても必ず言葉になっちゃうっていう。だからウツの症状も自覚できたんだろうな。

まあ当然のことだけど、自分にとって本当に都合の悪い事実は無意識のうちに改ざんして記憶してるだろうなとも思ってる。それでも羽吹と同じ事実は事実として誰にでも「いきなり超ストレートの剛速球でデッドボールを投げる」派としては、かなりの高確率で事実はそのまんま事実として記憶してるんだろうなって思うわ。

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そんでもっておまけに、私ゃ記憶喪失の経験まであるしねえ(マジです)。交通事故で後頭部を強打したせいなんだけど。私の場合はごく軽いものですぐに記憶が回復した。にも係わらず、事故に遭った当日の記憶だけが、いまだに戻らない。救急車に乗せられたときもまだ意識はあったっていう話なのに。

救急車で運ばれている間に昏睡状態に陥り、病院のICU(集中治療室)で意識が戻るまできっちり24時間かかったんだけど、その前の数時間、朝起きてから出かけて事故に遭った前後までの記憶がすこんと消えてるんだわ。なんかもうすでに大昔の話なのに、いま書いてても気持ちが悪い。

私の記憶って、消去したけど実はハードディスク=脳内をよく探したら残ってましたってことが結構あるんだよね。それなのに自分の脳内のどこを検索しても記憶が見つからない期間が存在するって、ホンットーに気持ちが悪い。てか、納得がいかん。

これがまるまる1年分、それも自分が犯罪に係わってしまっていたかもしれない、自分が連続殺人犯に「飼われて」いたのかもしれない、その記憶がごっそり抜け落ちてるだなんて思っちゃうともう、気持ち悪くて不安で居ても立ってもいられなくなっちゃうのは当然だと思ってしまうんだよ。それに羽吹も、納得がいかーん! って怒ってるんだろうなっていうのも想像がついちゃう。

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私は忘れることができるし、行方不明になったこともないし、過去もある程度時間が経ったら一括変換で処理しちゃえるから、羽吹みたいに過去に囚われるってことはまずないんだけど。でもそれだけに、ウツの症状で自分の過去の感情に襲われてたときは本当にしんどくて、本当にまいってた。自分がこんな症状に陥ったっていうこと自体が、かなりのダメージになってた。

だから、ほんのちょっと掛け違っていたら私もこうなってたかもな、っていう変なリアリティを羽吹に感じちゃうっていうか。ホントに身につまされまくりだわ。ストーリーよりもキャラで読む私としては、なんとしても羽吹くんには幸せになってもらいたいと切に願っちゃう。神尾なんていい相棒もできたことだしさ。

でもきっと、過去が羽吹を引きずり回す展開になっていくんだろうな、と思いつつ読んでるんだけどね。だって、まるまる1年間の記憶の空白にどう考えても連続殺人事件に直接係わっちゃってただろな仕込みもバッチリだし。頑張れ羽吹、と思いつつ、次の『サイメシスの迷宮 逃亡の代償』を読もう。

あ、最後にひとつ言いたい。

講談社さん、なんでこのタイガ文庫の電書版は表紙が表示されないんですかっ。せっかくのヨネダコウ先生による羽吹と神尾のイラストが、アイコンでしか見られないなんてひどすぎるー! ちゃんと電書にも表紙イラストを表示してください。


サイメシスの迷宮 完璧な死体 (講談社タイガ)

 

 

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